胡桃(くるみ)~山くるみと沢くるみについて
鬼(山)くるみ(クルミ)
胡桃(くるみ)の木には実をつける胡桃(くるみ)と実をつけない胡桃(くるみ)があります。「鬼くるみ」とか「山くるみ」と呼ばれるものは実をつけるほうの種類です。一般的によく見ることのできるクルミの木です。この「鬼くるみ(山くるみ)」は河原や民家周辺に生い茂るので、秋に実る「クルミの実」は人間や野生動物の食料として広く利用されています。
鬼クルミの花
胡桃(くるみ)の花です。これは「鬼くるみ」の花です。東北地方では4月後半から5月に咲きます。この花は全て雄花のようです。
鬼クルミの特長
「鬼くるみ」特長は枝が同じ場所から鳥の脚状に分かれています。
そして「鬼くるみ」の皮はきれいに剥けます。山葡萄の樹皮はきれいに剥げません。枝もまっすぐで節も少なくきれいな樹皮が採取できます。
鬼クルミの樹皮の色
「鬼くるみ」の樹皮の内側、外側、幹材です。外側は白色に近い物が多く内側は採取時は白色ですが時間が経つと黒色に変化します。樹齢によって色の変化が違うようです。あまり変化のしない樹皮もあります。クルミの樹皮は表(外側)内側と交互に利用され編まれることが多く、それが独特の模様になります。
鬼クルミの樹皮と採取
太い木からは厚い幅広の樹皮が採取でき、細い枝からは薄く狭い幅の樹皮となります。採取の目安は太さ2~10cm位が樹皮としては適しているように思います。見た目や質感は良い物が多く、固くて丈夫です。反面、編みずらいのかなとも思います。
沢くるみ(クルミ)
「沢くるみ」は実をつけないクルミです。その名の通り、深山の沢(川)沿いに自生していて、大木も沢山有ります。渓流釣りの際(釣り糸を投げる際)邪魔になる木です。
沢くるみ(クルミ)の花
「沢くるみ」の花は7月に咲きます。「鬼くるみ」とは異なる花なので同じクルミの木だと気づかない人も多いようです。
沢クルミの特長
「沢くるみ」の枝は「鬼くるみ」のように枝分かれせず互生してついています。枝が互生することで樹皮には大きな欠点が生じます。皮に節穴が出来るのです。
沢クルミには節穴が多い
「沢くるみ」の樹皮の内側には節穴があります。かご編み材として長いひごを採りたいときにはこの節穴が邪魔になりますが、樹皮の色がきれいなのが特徴です。
沢クルミと鬼クルミの樹皮比較
「鬼くるみ」と「沢くるみ」の皮の比較です。「鬼くるみ」に比べて「沢くるみ」は皮の色に変化が生じて来ています。赤茶色に変化しているのです。クルミの皮で籠などを編む材料としては「沢くるみ」が好まれます。この色の変化が自然素材らしい味わいを生むのです。
沢クルミの樹皮色合いの変化
「沢くるみ」の色の変化は皮の表面に刺激を与えることでより鮮明な色が出てくるようです。採取後表面を洗浄するとともに内側もタワシでゴシゴシと刺激を与えると色が生じ更に時間と共に色合いに変化が見られます。この色合いの変化にも樹齢が関係するようです。若い木は赤茶色、高齢は黒茶色が多いようです。
時間の経過とともにそれぞれ様々な色合いに変化してきます。全体的には黒茶色系です。この色合いの変化の微妙さ奥深さが編み手や利用する人を惹きつけているようです。
沢クルミの樹皮
「沢くるみ」の樹皮は「鬼くるみ」に比べて柔らかいですが、節が多く、かご編み材のひごにするのは難儀します。しかしそんな節も、自然素材ならではの個性、味わいなのでしょう。クルミで編んだ籠バッグや籠細工も、山葡萄同様、昨今、大変人気があり、材料の供給が追いつかないのが現状です。